メタボリックシンドロームが日本人を短命にする、健康寿命を短くする
小象の会 西船内科 篠宮正樹
メタボリックシンドロームの治療
メタボリックシンドロームの治療の根本は、蓄積している内臓脂肪を減少させることです。食事療法・運動・行動変容を3本柱とする生活全般の改善です。適正なカロリーとバランスのとれた栄養を摂取することが肝要です。有酸素運動により骨格筋の代謝改善とエネルギー消費を図ります。食事療法・運動療法のポイントを表に示しました。高血圧・高脂血症・糖尿病の個々の治療もおこないます。降圧剤・高脂血症治療薬・糖尿病治療薬・高肥満薬のなかに、メタボリックシンドロームでおきやすい病態を改善する薬もあります。しかし、薬だけ飲んでいれば良いのではありません。内臓脂肪蓄積に伴う代謝異常を改善させねばなりません。その上内臓脂肪が減れば薬が要らなくなる可能性が高いのです。将来的には、どの程度エネルギー節約型の体質かを調べて治療の指針・目標をたてたり、メタボリックシンドロームで不足しているアディポネクチンというホルモンを増やすなどの医療が可能になると考えられます。
表2
メタボリックシンドロームの食事運動療法
- 適正なエネルギー摂取
- 脂肪を摂取エネルギーの25%以下とする
- 単純糖質と塩分・アルコールの制限
- 食物繊維の摂取
- 抗酸化物質の摂取
- 高コレステロール血症を伴うときはコレステロール制限
- 脂肪を燃焼させる1日20~30分の有酸素運動
- 体重減少は、月1~2kgで十分であり、1年後にも体重が減少していること
- 体重記録の励行