設立趣旨

いま、わが国の生活習慣病はきわめて深刻な状況にあります。
糖尿病・高血圧・高脂血症など、生活習慣病はさまざまな病気を誘発する原因ともなり、多くの人々を地方や寝たきりに至らしめる危険性が高いのです。病気の 進行によって、国民が負担する医療費が膨大な額に上るだけでなく、国民の健康寿命の短縮による社会的損失は計り知れません。

糖尿病やその引き金となる肥満は、若いときからの脂肪・糖分の摂りすぎや運動不足から引き起こされるものが多く、最近では、成人のみでなく小中学生や若年層にも浸透しているのが特徴です。外食の普及や孤食・朝食抜きなど食生活の偏りと食文化の崩壊がその背景にあります。

生活習慣病の発症を防ぎ、進行を止めるためには、食事・運動に対する個々人の自覚と改善努力が肝要ですが、あわせて医療・栄養など専門家による積極的な活動と、社会環境の整備を進めるなど総合的な取り組みが不可欠です。

しかし、食生活を変えるのは、人の性格を変えるくらいむつかしい課題であるとも言われます。各種の情報が氾濫する中、個々人が自主判断だけで適正な食生 活を継続的に実行することはなかなか困難なことで、何らかの現実的な対策が必要です。一方、病気の的確な治療のためには、医療者と受療者間の緊密な意思疎 通が不可欠の条件となりますが、両者の間にはコミュニケーションギャップがあり、双方が不満を持っているという現実があります。

国は、国民の健康づくり対策として、平成12年に「健康日本21」を定め、生活習慣病を含めた総合健康づくり運動を進めています。しかし、その施策を実施に移すためには、今後、各地域で、官民上げた具体的なアクションプランの策定と、確実な実行が求められております。

このような実情を踏まえ、生活習慣病治療に携わる医師及び関連各分野で活動する専門家と市民が広く交流と連携を図りながら、生活習慣病の防止のために一体的に活動する組織として「生活習慣病に取り組む市民と医療者の会(愛称:小象の会)」を設立することにいたしました。

会の活動を継続的、かつ効果的に推進するためには、特に行政・学校・諸団体との緊密な連携とともに、市民レベルでの意識の高揚と積極的な参画が不可欠であることから、特定非営利活動法人がもっとも適切な組織であると判断し、NPO法人の設立に至りました。

H17年 6月11日